第12章 Linphone—Linuxデスクトップ用のVoIP

目次

12.1. Linphoneの設定
12.2. Linphoneのテスト
12.3. 電話をかける
12.4. 電話に出る
12.5. 電話帳を使用する
12.6. トラブルシューティング
12.7. 用語集
12.8. 関連資料

概要

Linphoneは、Linuxデスクトップ用の小さなWeb電話アプリケーションです。これを使えば、インターネット上での二者通話が可能になります。特別なハードウェアは必要ありません。適切に設定されたサウンドカード、マイクロフォン、およびスピーカまたはヘッドフォンが接続された標準のワークステーションがあれば、Linphoneを使うことができます。


12.1 Linphoneの設定

Linphoneを使う前に、いくつかの基本的な事柄を決め、いくらかの設定を行う必要があります。まず、Linphoneの実行モードを決めて設定し、使用する接続タイプを決め、それからLinphoneの設定を始めて([Go]、+[設定]の順に選択)、必要な調整を行います。

12.1.1 Linphoneの実行モードを決める

Linphoneは、実行しているデスクトップのその設定のタイプに応じて、2種類のモードで実行することができます。

通常のアプリケーション

Linphoneソフトウェアをインストールすると、GNOMEやKDEのアプリケーションメニューから、またはコマンドラインから起動できるようになります。Linphoneを実行していないときには、かかってきた電話を受信することはできません。

GNOMEパネルのアプレット

Linphoneは、GNOMEパネルに追加することができます。パネルの空白の部分を右クリックして[パネルへ追加]を選択し、Linphoneを選択します。Linphoneは恒久的にパネルに追加され、ログイン時に自動的に起動します。電話がかかってこない間は、バックグラウンドで実行されます。電話がかかってくると、メインウィンドウが開くので、電話を受けることができます。電話をかけるには、アプレットのアイコンをクリックしてメインウィンドウを開きます。

12.1.2 接続タイプを決める

Linphoneで電話をかけるには、何通りかの方法があります。どのように電話をかけ、相手方に接続するかは、ネットワークまたはインターネットに接続している方法に応じて決まります。

Linphoneは、リモートのホストとの接続を確立するために、SIP (session initiation protocol)を使用します。SIPでは、それぞれの通話者が、以下のようなSIP URLによって識別されます。

sip:username@hostname
   

usernameはLinuxマシンへのログイン名で、hostnameは使用しているコンピュータの名前です。SIPプロバイダを使用している場合には、URLは次の例のようになります。

sip:username@sipserver
   

usernameは、SIPサーバに登録したときに選択したユーザ名です。sipserverは、SIPサーバまたはSIPプロバイダのアドレスです。登録方法についての詳細は、12.1.5項 「SIPオプションの設定」 (↑アプリケーション)を参照し、プロバイダの登録関連のドキュメントを確認してください。ご使用の目的に適したプロバイダのリストは、12.8項 「関連資料」 (↑アプリケーション)で言及されているWebページで確認してください。

使用するURLは、選択した接続のタイプに応じて決まります。SIPプロバイダによるルーティングなしに、相手側に直接電話をかける場合には、最初のタイプのURLを入力します。SIPサーバを経由して相手側に電話をかける場合には、2番目のタイプのURLを入力します。

12.1.2.1 同じネットワーク内での通話

同じネットワークに所属している友人や同僚に電話をかける場合には、正しいユーザ名とホスト名があれば、有効なSIP URLを作成できます。同じことは、相手がこちらに電話をかけようとする場合にも当てはまります。自分と相手側との間にファイアウォールがなければ、これ以上の設定は必要ありません。

12.1.2.2 ネットワークを越える、またはインターネットを使用する通話(静的IPでのセットアップ)

静的なIPアドレスを使用してインターネットに接続している場合、相手側が電話をかけてきたいときには、こちらのユーザ名と、ワークステーションのホスト名またはIPアドレスがあれば、12.1.2.1項 「同じネットワーク内での通話」 (↑アプリケーション)で説明されているように有効なSIP URLを作成できます。こちら側、または相手側が、着信および発信トラフィックのフィルタ処理を行うファイアウォールの背後にいる場合には、Linphoneのトラフィックがファイアウォールを通過できるように、SIPポート(5060)およびRTPポート(7078)を開いてください。

12.1.2.3 ネットワークを越える、またはインターネットを使用する通話(動的IPでのセットアップ)

お使いのIPセットアップが静的でなく、インターネットに接続するたびに新しいIPアドレスを動的に取得している場合には、どの相手側からも、こちら側のユーザ名とIPアドレスに基づいて有効なSIP URLを作成することは不可能です。このような場合には、SIPプロバイダから提供されているサービスを使うか、またはDynDNSセットアップを使用して、外部の相手側が正しいホストマシンに接続できるようにしてください。DynDNSの詳細については、http://en.wikipedia.org/wiki/Dynamic_DNSを参照してください。

12.1.2.4 ネットワークおよびファイアウォールを越える通話

ファイアウォールの背後に隠れているマシンは、そのIPアドレスをインターネットに公開しません。そのため、そのようなマシンを使用しているユーザに電話をかけようとしても、直接接続することはできません。Linphoneは、SIPプロキシの使用、または通話をSIPプロバイダに転送することにより、ネットワークやファイアウォールを越えた通話をサポートします。外部のSIPサーバを使用するために必要な調整についての詳細は、12.1.5項 「SIPオプションの設定」 (↑アプリケーション)を参照してください。

12.1.3 ネットワークパラメータの設定

ネットワーク]タブのほとんどの設定は、調整する必要はありません。これらを変更しなくても、そのまま通話することができるはずです。

NAT Traversal Options

このオプションは、ファイアウォールの背後のプライベートネットワークに接続していて、通話を転送するSIPプロバイダを使用しない場合にのみ、有効にします。チェックボックスをオンにして、ファイアウォールのIPアドレスを192.168.34.166のようなドット表記で入力してください。

RTPのプロパティ

Linphoneは、通話の音声データを転送するのに、RTP (real-time transport protocol)を使用します。RTPのポートは7078に設定されています。他のアプリケーションがこのポートを使っている場合以外には、変更しないでください。ジッタ補正(jitter compensation)のパラメータは、Linphoneがオーディオパッケージを実際に再生する前にどの程度バッファするかを制御します。このパラメータを大きくすれば、転送音声の品質は改善されます。バッファするパッケージの数を増やせば、「遅れて届いたパッケージ」も再生できる可能性が大きくなります。一方、バッファするパッケージの数を増やすと、レイテンシも大きくなり、相手の声がいくらか送れて聞こえるようになります。このパラメータを変更するときには、これらの2つの要素のバランスに注意してください。

Other

VoIPと通常の電話を組み合わせて使う場合、DTMF (dual tone multiplexed frequency)テクノロジを使って特定の動作をトリガし、特定のキーを押すとボイスメールをリモートチェックする、などの設定が行えるようにしたいと思うかもしれません。Linphoneは、DTMF伝送の2つのプロトコル、SIP INFOおよびRTP rfc2833をサポートしています。LinphoneでDTMF機能が必要な場合、これらのプロトコルのいずれかをサポートしているSIPプロバイダを選択してください。VoIPプロバイダの詳しいリストは、12.8項 「関連資料」 (↑アプリケーション)を参照してください。

12.1.4 サウンドデバイスの設定

サウンドカードがLinuxによって正しく検出されていれば、Linphoneは自動的に、検出されたデバイスをデフォルトのサウンドデバイスとして使用します。[使用するサウンドデバイス]はそのままにしておいてください。[録音する音源]では、どの録音ソースを使うかを決めます。ほとんどの場合、これはマイクロホンになるでしょう(マイク入力)。カスタムの呼び出し音を選択するには、[参照]でいずれかを選択し、[Listen]でテストします。[適用] をクリックして、変更内容を確認します。

12.1.5 SIPオプションの設定

SIP]ダイアログには、SIP関連のすべての設定が含まれています。

SIPのポート

SIPユーザエージェントが動作するポートを決めます。デフォルトのSIPのポート番号は5060です。他のアプリケーションまたはプロトコルがこのポートを必要としていない限り、デフォルト設定は変更しないでください。

個人情報

相手側がSIPプロキシやSIPプロバイダを使わずに直接電話をかけたいと思う場合には、こちら側の有効なSIPアドレスを知っている必要があります。Linphoneは、有効なSIPアドレスを作成します。

リモートのサービス

このリストには、ユーザアカウントを作成した1つまたは複数のSIPサービスプロバイダを記述します。サーバ情報はいつでも追加、修正、削除できます。登録の手順についての詳細は、SIPプロキシの追加とリモートのSIPサーバへの登録 (↑アプリケーション)を参照してください。

Authentication Information

リモートのSIPサーバに登録するには、パスワードやユーザ名など、特定の認証データを入力する必要があります。Linphoneは、いったん入力されたデータを保管します。セキュリティ上の理由のためにこのデータを破棄するには、[Clear all stored authentification data]をクリックします。

リモートのサービス]リストには、リモートのSIPプロキシやサービスプロバイダの複数のアドレスを設定できます。

手順 12.1 SIPプロキシの追加とリモートのSIPサーバへの登録

  1. 適切なSIPプロバイダを選択し、そこにユーザアカウントを作成します。

  2. Linphoneを開始します。

  3. Go]、[+Preferences]、[+SIP]の順に選択します。

  4. Add proxy/registrar]をクリックして、登録フォームを開きます。

  5. Registration Period]、[SIP Identity]、[SIP Proxy]および[Route]に適切な値を入力します。ファイアウォールの背後から使用する場合には、[Send registration]をオンにして、[Registration Period]に適切な値を入力します。これにより、一定の時間が経過した後にオリジナルの登録データを再送信して、Linphoneが必要とするポートをファイアウォールに開け続けさせることができます。こうしないと、ファイアウォールがこのタイプのパッケージを受け取らなかった場合、これらのポートは自動的に閉じられます。登録データの再送信は、SIPサーバに、接続の現在のステータスおよび発信側の場所を知らせ続けさせるためにも必要です。[SIP identity]には、ローカルの通話の場合に使用するSIP URLを入力します。このサーバをSIPプロキシとしても使用するには、[SIP Proxy]にも同じ値を入力します。最後に、必要であればオプションとしてルート情報を入力し、[OK]をクリックしてダイアログを閉じます。

12.1.6 オーディオコーデックの設定

Linphoneは、音声データの伝送のために、複数のコーデックをサポートしています。接続のタイプを設定し、リストウィンドウで使用したいコーデックを選択してください。現在の接続タイプに適していないコーデックは赤い色で表示され、選択することはできません。